読み物

連載 北の息吹

2021年8月13日

213 センチコガネ

213 センチコガネ

写真家 中島宏章


 使っている言葉が知らない間に死語になっていることって、あるんです。
 キノコの裏にセンチコガネが来ていました。大きさは2センチほど。コガネ(黄金)の名の通り全身が光り輝く美しい虫です。
 センチの由来は、センチメートルかと思いきや違いました。彼らの主食は動物のフン。美しい姿のわりにそんなものが好きなのですね。ではウンチが訛ってセンチになった?それも違う。
 センチの由来は雪隠(せっちん)でした。雪隠とは便所、かわやのことです。かわやまではギリギリ分かりますが、雪隠という言葉は恥ずかしながら知りませんでした。
 日本語は、どんどん変化していく特徴がありますよね。みなさん驚くかもしれませんが、ぜひ、まわりの子どもたちに聞いてみてください。「便所」「台所」「居間」が通じるかどうか。トイレ、キッチン、リビングしか知らない子どもたちが実に多いのですよ。

読み物連載:北の息吹